ただ憧れを知る者だけが – チャイコフスキー

ロシア歌曲集の中の一曲で、初めて聴いた遥か昔を思い出します。
チャイコフスキーはロシア語に翻訳されたゲーテの詩に、
作曲したとのことです。

ロシア語で、ホロストフスキーの歌唱で。

ゲーテの「ウィルヘルムマイスターの修行時代」の中で、ミニヨンという不思議な少女によって、歌われる詩のひとつ。

Nur wer die Sehnsucht kennt    
Weiß, was ich leide!                   
Allein und abgetrennt                    
Von aller Freude,                          
Seh ich am Firmament                
Nach jener Seite.                          

Ach! der mich liebt und kennt,      
Ist in der Weite.                              
Es schwindelt mir, es brennt       
Mein Eingeweide.                        
Nur wer die Sehnsucht kennt      
Weiß, was ich leide!      

堀内敬三 訳詞

我が悩みを知るはただ憧れを知る者のみ
悲しく我眺むる空
ああ愛しき君は いずこぞ
我が悩みをたれか知る
苦しさに力失せて
身も心も痩せこがる
この悩みを知るはただ憧れを知る者のみ

『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』(Wilhelm Meisters Lehrjahre)は、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテにより書かれた教養小説の古典的な作品。作品中に収められた詩には多くの作曲家が曲を付けた。特に、「涙と共にパンを食べた事の無い者は “Wer nie sein Brot mit Tränen aß”」(第2巻第13章)、「君よ知るや南の国 “Kennst du das Land, wo die Zitronen blühn”」(第3巻第1章)、「ただ憧れを知る者だけが “Nur wer die Sehnsucht kennt”」(第4巻第11章)などが知られている。

「涙と共にパンを食べた事の無い者は」という標題を見て思い出す一節があります。
「涙とともに種を蒔く者は、 喜び叫びながら刈り取ろう。
種入れをかかえ、泣きながら出て行く者は、 束をかかえ、喜び叫びながら帰って来る。」(詩篇126篇)

私は「ウィルヘルム・マイスターの修行時代」を読んだことはありませんが、
この詩に関して次のような記事がありました。

若きヴィルヘルムは、屋根裏の部屋で、竪琴弾きの老人と遭遇する。この老人がうたうのが「涙とともにパンを……」の詩である。

Wer nie sein Brot mit Tränen aß,
Wer nie die kummervollen Nächte
Auf seinem Bette weinend saß,
Der kennt euch nicht,ihr himmlischen Mächte.

Ihr führt ins Leben uns hinein,
Ihr laßt den Armen schuldig werden,
Dann überlaßt ihr ihn der Pein,
Denn alle Schuld rächt sich auf Erden.

涙と共にパンを食べたことがない者
また 苦しみに満ちた夜に
ベッドの上に泣きながら座っていたことのない者
そういう者は御身らを知らないのだ 天上の力よ

御身らは われらを生に導き入れ
哀れな者に罪を負わせ
それからその者を苦しみの中に放り出すのだ
あらゆる罪はこの世で報いを受けるのだから

             

Visited 1 times, 1 visit(s) today
カテゴリー: エリーザベト・シュヴァルツコップ, クリスタ・ルートヴィッヒ, ディミトリ・ホロストフスキー, フリッツ・ヴンダーリヒ パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です